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2013年7月 1日 (月)

「浮世絵版画摺り」のワークショップ体験記

アダチ版画研究所の浮世絵版画摺りの体験型ワークショップに参加した。

001 アダチ版画研究所

「版画摺りを体験できる」というところに興味を惹かれ、ミーハー気分で応募したのだが、目からウロコの初めて尽くしに、充実したひとときを過ごすことができた。

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「神奈川沖浪裏」の摺りを実演。

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摺り師は去年、5年の年季が明けてプロデビューされた京増(きょうそう)氏が担当。
版木は堅く木目の細かい山桜の古木に、復刻した版を使用している。水性の顔料を越前生漉奉書(こうぞ100%の手漉き和紙)に摺り込ん(きめ込み)で転写する。

通常、版木は5枚くらいの表裏を使用しているとのこと。もともと完成品を販売するという商業印刷なので、採算性を重視していた。
版木を効率よく使ったり、作業スピードをあげることも重要なポイントになってくる。

この「神奈川沖浪裏」では、4枚の版木の裏表で8色を使用している。
(輪郭線の濃い青、舟の肌色、舟のねずみ色、空の淡紅色、空の薄い墨色グラデーション、空の濃い墨色グラデーション、波の水色、波の藍色の順)
最後の波の藍色がいわゆるベロ藍(プルシアンブルー)で、当時海外では「広重ブルー」と呼ばれていたらしい。

多色摺りほど良いというものではなく、評価の高いものは色数が少ないらしい。
特にグラデーションは、空の薄い墨色グラデーションのあとに濃い墨色グラデーション重ねるといった工程で仕上げられ、水と膠を使い刷毛でグラデーションを版木の表面に描いたものを、紙に摺り込むという高度な熟練技が必要で習得には長い年月がかかるらしい。

色を合わせるための位置合わせ用に2ヶ所の見当がある。

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紙の持ち方と置き方(これも熟練技、いかに素早く正確にセットできるか)

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顔料はすぐに乾いてしまうので、ここの手際が出来上がりを左右する。

途中で色ずれを修正するために、見当を削る

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これは摺り師への色指定の指示書(色数だけある)

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ドーサ引き(水と膠をまぜたドーサ液を塗り、にじみ止めの処理をする)した和紙を乾燥させているところ。

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基本的に浮世絵版画に完成図はなく絵師の頭の中だけに存在し、作業工程のなかで彫り師と摺り師に指示を出すという完全分業制になっているとのこと。ということは頭の中に詳細な完成図がないと、的確な指示は出せないだろうし、本人以外誰も完成するまでは判らない。(絵師が描いた原画は直接版木に下絵として貼り付けるために、この時点で消滅する)

これで完成。

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完成品を間近で手にすると、ディテールや顔料の微妙な凹凸が判り、額装されると感じることのできない味わいがある。

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まわりの人のノートも気になる。

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いよいよ摺りを体験。
今回は主版(おもはん)という輪郭線の版を使って一色摺りに挑戦する。

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何とか完成できた!

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摺り上がりをお披露目するたびに歓声があがり、みなさん和気あいあいと楽しんで満足したひとときを共有することができた。

1985年に、ボストン美術館で発見された大量の版木は、こちらの研究所に持ち込まれ、当時のオリジナル版木で浮世絵を現代に蘇らせ、その継承されている技に高い評価を得たという裏話や、摺り師の方が、葛飾北斎はとことん追求するタイプの絵師で、「酒を一緒に飲むなら北斎より広重と飲みたい」というひと言に、思わず頷いてしまった。

 

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